実銃

2026/10/14

WWⅡを戦い抜いたイギリス小火器開発の集大成「リー・エンフィールドNo.4 Mk I* 小銃(サベージ社製)」【無可動実銃】

 

 

この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。

 

 

リー・エンフィールド・ライフルの進化

 

 リー・エンフィールドは、19世紀末から20世紀中頃まで活躍したイギリス軍のライフルだ。1895年に初めて採用され、20世紀初頭ではもっとも先進的なライフルであった。元々は1888年に制式採用された黒色火薬のリー・メトフォード小銃を無煙火薬で撃てるようにした改良型である。またエンフィールドは完成後も当然長期にわたる運用の中で幾度もの改良やバリエーションの開発が行われている。

 

No4ライフルになってからリアサイトがレシーバー後部に移り、加工を容易にするため、チャージャーブリッジを丸くした

 

装弾数10発のマガジンはボックス式で現代の軍用銃と同等のコンセプトで、同時代のボルトアクション式ライフルの中でも圧倒的な火力を誇る

 

バレルがハンドガードから飛び出すように形状変更されたが、これは新型のスパイク・バヨネットを装着するためでもあった

 

 そんな中でも特に著名なものは初期型のMLE、短縮・軽量化したSMLEやSMLE MkⅢ、そして簡略化とコストダウンを盛り込んだ最終型のNo.4 だろう。すべてのモデルに共通したのがボルトの作動が20世紀の歩兵ライフルの中でも最も滑らかで、ボルトハンドルの操作角度や短いコッキングストロークのお陰で、どのボルトアクションよりも素早く連射できた。1954年にL1A1 SLR(FN-FAL)が採用されるまで、イギリス軍の制式ライフルとして、狙撃銃としては1980年代後半まで使用され続けた。

 

 

リー・エンフィールドNo.4 Mk I* 小銃(サベージ社製)

  • 全長:1,128mm
  • 口径:.303ブリティッシュ
  • 装弾数:10発
  • 価格:¥253,000
  • 商品番号:【10075】

 

 

イギリス小火器開発の集大成

 

 No.4小銃は、イギリスがWWⅡを戦い抜いた小銃である。1926年の兵器への名称変更に伴い、前身のSMLEライフルがNo.1 MkⅢ、Ⅲ*となり.22リムファイア口径の訓練用ライフルに改造されたMkⅢおよびⅢ*ライフルがNo.2となった。1930年代後半には新しいライフルの需要が高まり、1941年にNo.4が制式採用された。No.4はNo.1の優れた特徴を継承しながらもレシーバー、ボルト、ストック、サイト、バレル、ノーズキャップ、銃剣に変更が加えられた。外観や特徴は似ているが、No.4とNo.1の間で完全に互換性のある部品は非常に少ない。レシーバーは強化され、製造工程を少なくし簡素化された。弾薬のクリップを装着する一体型チャージャーブリッジが、No.1のブリッジ型からレシーバーと一体で切削加工されるようになった。製造が複雑だったノーズキャップは廃止され、プレス加工された前部補強バンドと簡素化されたサイトガードが採用されている。また、より重いフリーフローティングバレルへの変更と前後のアイアンサイトも再設計され、リアサイトはレシーバー最後部へと移設され、フロントサイトは調整可能なものが採用された。

 

大戦中はアメリカでの生産も行われたため、アメリカ製のエンフィールドには「US.PROPERTY」の刻印がフレームに打たれた

 

ストックには鉄製のバンドが配置され、製造年やシリアルナンバー、必要であれば部隊を示すナンバーやマークも打刻されていた

 

ストックにはWWⅡ当時ではポピュラーであった金属製のバットプレートを装備。銃底で殴るなど白兵戦には必要な装備でもあった

 

 新型バレルとサイトレディアスを延ばしたことで、以前のリー・エンフィールドやモーゼルよりも素早く、正確に狙えるようになった。銃剣も「ピッグスティッカー」と呼ばれた鋭い先端を持つ鋼鉄のスパイク型のNo.4銃剣となっている。1939年には採用されたが、新たな製造工場が整う1941年まで大量生産されることはなく、WWⅡが始まると生産が追い付かず武器貸与法に基づいてアメリカのサベージ・アームズ社やカナダのロングブランチ兵器庫でも製造されている。戦後は多くのNo.4は予備の小銃を保持し続けるプロジェクトとして、7.62mm NATO弾仕様に改修されている。このことからもNo.4小銃は、イギリスの小火器開発の集大成といえる小銃であった。

 

 

SHOP DATA(お問い合わせ先)

シカゴレジメンタルス

●東京上野本店
〒110-0005 東京都台東区上野1-12-7 Theシカゴビル
TEL 03-5818-1123 FAX 03-5818-1124
営業時間 12:00~19:30 年中無休

 

●大阪店
〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町1-5-14 瓦町一丁目ビル4階
TEL 06-6223-9070 FAX 06-6223-9071
営業時間 12:00~20:00 年中無休

 

TEXT:IRON SIGHT

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×