2026/08/14
フランス軍の歴史を背負う傑作小銃「MAS Mle 1949-56自動小銃」
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この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。
フランスの執念が生んだライフル
フランスのサンテティエンヌ製造所で製造されたライフルは製造所の頭文字をとって「MAS」と呼ばれ、40年に渡るライフル製造と2つの大規模戦争、幾多の植民地紛争の経験を積んだフランスのモダンライフルの頂点である。ボルトアクションのMAS-36から始まり、自動小銃化されたMAS49まで1978年に生産終了された後も、1990年代までフランス軍で使用され30万挺以上生産された、フランスを代表するバトルライフルだ。
特に自動小銃化はフランスが世界で最も早く、第一次世界大戦中に半自動小銃を本格的に標準配備しようとしたのもフランスだけである。その後も自動小銃の開発は続けられたが、ドイツに占領された4年間は開発が中断された。1944年に解放されると直ちに再開され、MAS40、MAS44、MAS49、MAS49/56と開発が進む。もし自動小銃型が第二次大戦中に大量採用されていればM1ガーランドにも匹敵する自動小銃ともいわれるほどの完成度を誇っていた。
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- 全長:1.040mm
- 口径:7.5mm×54
- 装弾数:10発
- 価格:¥385,000
- 商品番号:【10113】
フランス製バトルライフルの最終形態
第二次世界大戦後のフランスは植民地の独立戦争に明け暮れる日々が続き、フランス軍は急速に再建と再装備を試みていた。資金不足と戦闘経験から新規小銃開発より既存のライフルの改良案のほうが現実的であったのだろう。冷戦の脅威や植民地での紛争により近接火力支援や対装甲戦闘用、狙撃銃としても使用できる万能ライフルの必要性は高まった。それらの機能をすべて盛り込んだMASシリーズの最終型こそMAS49/56であり生産数の大半を占める275,240挺も生産された。その特徴の一つは、ガスピストンを不要にし、重量を軽減し単純な構造と生産性を上げるダイレクト・インピンジメント(DI)ガスシステムを採用。のちのAR-15/M16でも採用されたこのシステムも、フランスが制式ライフルに世界でも早い時期に採用している。またカートリッジはMAS36から採用された7.5mm×54弾が継承され、マガジンの装弾数をレシーバー内蔵式の5発から脱着式の10発式に改められたが、レシーバーの設計変更を最小にするためにマガジンキャッチのパーツはマガジン側に装備され、レシーバーには台形の切り込みを設けるだけとした。
MASの口径は7.5mm×54と独自の口径が採用されたが、7.62mm×51弾が制式にNATO弾に決定したあとでも、口径が改められることはなかった。ボルト閉鎖機構は、M16やAK-47などのようなロータリーロッキング方式ではなく、SKSカービンやFN FALと同じティルティングボルト式である。バレルは根本だけで支えられるフリーフローティング式で命中精度を確保した。全体として頑丈で信頼性が高く、強力な弾丸を発射し、短距離砲としても機能するMAS-49/56は、1950年代のバトルライフルとしては完成形であった。この後のFA-MASの開発者であるポール・テリエも設計に参加したフランスの武器開発の創意工夫の証であり、当時としてはバランスの取れた近代的なライフルであった。
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この記事は月刊アームズマガジン2026年9月号に掲載されたものです。
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