エアガン

2026/11/07

オールド・ モデルガン・ アーカイブ:CMCからひとつかみ【前編】

 

 CMCは第一次ガンブームの頃に創業した老舗のモデルガンメーカーだった。エアソフトガンは一切作らず、エアソフトガンが台頭してきた1980年代中頃に解散してしまったが、模型寄りのリアル志向な製品は多くのファンを魅了した。そんなリアル派のCMC製品の中にも、冒険したなあと思わせるようなモデルが存在した。今回はそんな意外性のあるCMC製モデルガンをひとつかみ。

 

 

CMC

SPAIN LLAMA(1973年)

 

CMC製 スペインラーマ

 

意表を突いたスペインのミニガバメント!

 

 CMCがラーマを発売した1973年は、1971年の歴史的な第一次モデルガン法規制によってほとんどのメーカーが規制対象外となる長物へとメインの商品をシフトした揺り返しで、規制直前に大人気となっていたブローバックを取り込み再びハンドガンが作り始められた頃。火薬の力で自動作動するブローバックはとてつもなくインパクトがあり、銃口が閉塞されていて、色が金色であっても欲しくなるモデルガンだった。発火ガスが銃口から抜けなくても、撃って遊ぶのがモデルガンの大きな魅力の1つだったので、規制後はオートマチックのブローバックは必須となった感もあった。


 そこでCMCはブローバックさせやすい中型オートの中から、大人気のガバメントによく似たラーマを発売することにした。チョイスの理由はよくわかっていないが、原型を手がけた六人部登(むとべのぼる)さんが提案したのではないかと言われている。CMCのハンドガンで最初からブローバックと謳って発売されたモデル第1号だったかもしれない。これがうまくいったので、その後メジャーなブローニング380やPPKを発売する。名銃P38もブローバックが出たのは1973年になってからだった。
 そんな意味でラーマは超マイナーなモデルながら、CMCにとっては大きな意味を持つモデルガンだった。

 

スライド上面のリブには反射防止の細かなセレーションが刻まれている。リアサイトはスクウェアノッチだ

 

エジェクターは頑丈なスチール製のものがねじ留めされたため、ディスコネクターは右に寄せられている

 

実銃同様のストレートブローバック。エキストラクターは別部品の外装式だが、内部でファイアリングプレートと連結されている

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングプレート(サイドファイア)
作動方式:手動(スタンダード)、ブローバック
カートリッジ:ソリッドタイプ(スタンダード)、オープンタイプ(ブローバック)
使用火薬:平玉紙火薬数粒
全長:16cm
重量:550g
口径:7.65mm
装弾数:7発+1(薬室内)
発売年:1973年
発売当時価格:
 4,800円(スタンダード)、
 6,700円(ブローバック)、各カートリッジ7発付き

 

※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

CMC

ERMA LUGER 380(1970年)

 

CMC製 エルマルガー 380

 

初のトグルジョイントブローバック?

 

 エルマルガー380もまたCMCらしからぬモデルガンだった。これも、原型を手がけた六人部登さんが、こんなモデルはどうかと提案したらしい。その裏には、六人部さんが設計者としてトグルジョイントのブローバックを手がけてみたいという希望があったような気がしてならない。
 その頃、ブローバックはMGCがデトネーター方式で業界を大きくリードしていたものの、サブマシンガンだけでハンドガンはまだなかった。MGCが第1号ハンドガンとなる9mmガバメントのブローバックを発売するのは1971年になってからだ。しかもトグルジョイントのブローバックとなれば例はない。

 

 提案に対してCMCは「グリップが太いので、日本人の手に合うよう細身のグリップでスマートなスタイルにして欲しい」というような要望を出したらしい。

 外観の変更に加えて、内部メカニズムも大きく変更された。ブローバックモデルにするためには、ストライカー方式より確実に発火させやすいハンマー方式の方が向いているからだ。CMC っぽくない大胆アレンジ。
 六人部さんは銃器研究家の床井雅美(とこいまさみ)さんに協力を仰ぎ、ドイツから実銃の資料を送ってもらい原型を完成させた。ブローバック方式は、おそらくナカタのMP40で採用されたのと同じパワーシールブローバックだと思われる。

 

 ところが発売時、エルマルガーは大きく広告されることもなく、ブローバックという表記もなかった。CMCのカタログにもブローバックとは書かれていない。ただN.G.K(日本高級玩具組合)グループのカタログにはブローバックと書かれていた。本当にブローバックしたのかどうかは不明だ。そんなこんなで、残念ながらCMCのブローバック第1号となるはずだったエルマルガーは大きく注目されることはなかった。

 

フロントサイト背面には反射防止のセレーションが刻まれ、別部品ではないがダブテイルの形状も再現されている

 

リアサイトはスクエアノッチ。プレス製のフロントトグルにCMCの花文字が打刻されている

 

トグルが跳ね上がった状態。実銃とは異なり、マガジンフォロワーに当たってホールドオープンする

 

フレームを上から見ると、実銃にはないハンマー(コックされた状態)が見える。エジェクターはスチールの別部品で、ねじ留めされている

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングピン(初期はセンターファイア)
作動方式:ブローバック?
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:212mm(4インチ)
重量:795g(4インチ)
口径:.380
装弾数:6発+1(薬室内)
発売年:1970年
発売当時価格:4,000円(4インチ、6インチ)、各カートリッジ6発付き
装弾数:6発
発売年:1973年

 

※銃口を閉塞し、金・黄・白色にしたもののみ所持可。smGの刻印がないものは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。


※金属製ハンドガンは、経年変化等によってめっきの金色が取れると銀色と判断されて法規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年12月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×