エアガン

2026/08/09

オールド・モデルガン・アーカイブ:ナカタからひとつかみ【Part.1】

 

 ナカタ(中田商店)が生み出した名銃モデルガンから、普段あまり取り上げられるこのない名モデルをチョイスしてご紹介。やっぱりナカタはスゴかった!

 

ナカタ

ブローニング・ハイパワー M1935(1967年)

 

ナカタ製 ブローニング・ハイパワーM1935

 

初めて二列弾倉を再現したモデルガン!

 

 第二次世界大戦時の世界各国の軍用銃をモデルガン化することを1つの目標としていたナカタは、金属モデルガン全盛期とも言うべき1967年にブローニング・ハイパワーを発売した。すでにガバメントやワルサーP38、ルガーP08などの名銃が続々とモデルガン化されていたから当然と言えば当然とも言えるチョイス。
 原型製作を手がけた六人部登(むとべのぼる)さんは、土浦の自衛隊武器学校にあったカナダのイングリス社が第二次世界大戦中にライセンス生産したNo. 2マーク1*(スター)というモデルを取材し、参考にしたという。


 もちろん実寸でモデルガン化され、スライドを介してハンマーを倒す撃発機構や、マガジンセーフティもしっかり再現されていた。さらに当時は珍しかった二列弾倉(ダブルカラムマガジン)が完璧に再現されていた。しかもリアルさにこだわり、モデルガンで初めてパーカライジングが施され、錆びにくくなっていた。どちらも広く知られるようになるのはもっとだいぶ後になってからだ。
 まちがいなくナカタ・ブランドは業界をリードし、最先端を突っ走っていた。その証がこのハイパワーだった。

 

モデルガンで初めて再現されたダブルカラムマガジン。表面仕上げも初めてパーカライジングが採用された

 

マガジンセーフティは実銃より少ないパーツ数で実現した。ただレバーの動く方向が反対になっている。写真はマガジンを入れてマガジンセーフティがオフとなった状態

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
作動方式:手動
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:197mm
重量:990g
口径:9mm
装弾数:13発+1(薬室内)
発売年:1967年
発売当時価格:3,800円

 

※表面を白・黄・金色などに着色し、銃口を閉塞していれば所持可。
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 

※このモデルガンの写真はすべてPhoto by Keisuke.K


 

ナカタ

トカレフTT-33(1967年)

 

ナカタ製トカレフTT-33(Photo by Keisuke.K)

 

人気最低でもユニーク度最高のモデルガン!

 

 トカレフはソ連の軍用拳銃だ。モデルガンが発売された1967年当時、日本とソ連は国交断絶という最悪な状態で、ガンファンの間でもソ連の軍用銃はとても人気が低かった。さらに鉄のカーテンの向こう側の銃なので、詳細も良くわからなかった。せいぜい不鮮明なモノクロの側面写真があるくらい。
 それをナカタはモデルガン化した。第二次世界大戦時の世界各国の軍用銃をモデルガン化することを1つの目標としていたナカタならではだろう。人気があろうがなかろうが、関係なかった。普通の会社ならきっと手を出さないモデル。実際、発売時でも単独での専門誌広告はされていない。


 今から思えばとても貴重で、ありがたいモデルだったのに、当時は興味すら持たない人がほとんど。ハドソンがプラスチックモデルガン化して発売するのは1992年だから、25年もかかっているのだ。人気もなく、資料もなく、いかにも早すぎた。
 一体、どうやって作ったのか。原型を製作したのが六人部さんだということはわかっていたのだが、お話を伺うことができなかったので、詳細は不明。ただ当時のほかのナカタ製モデルガンの例から推測すると、モデルガンの開発に協力的だったアメリカ空軍立川基地の極東アメリカ空軍ガンクラブ会長ジョセフ・J・マンカレラ氏が実銃を持っていたか、持っていた人を紹介してくれた可能性はある。基地内で取材する分には何ら問題ない。さらに六人部さんはいろんな種類の実銃のグリップを持っていたので、トカレフのグリップも持っていたかもしれない。そこから正確な寸法を割り出していくことはできる。
 完成したトカレフはブローバックモデルがなかった時代には不要だったディスコネクター以外、フルメカ、フル機能で再現されていた。不人気でもナカタだから作ることができたハイレベルなモデルガンだった。

 

スライドストップは実銃同様、右側から板ばねで押さえられていて、カートリッジのリムを使って簡単に外すことができる

 

マガジンキャッチは、見た目は実銃そのままだが、モデルガンではスプリング式ではなく通常のねじ式になっていた

 

実銃そっくりに再現されたグリップ。ねじが不要で、裏側のプレートを回転させてグリップパネルを固定する

 

機関部も実銃と同じで、ディスコネクターはないものの、ハウジングごとすっぽりと抜くことができる

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
作動方式:手動
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:197mm
重量:820g
口径:7.62mm
装弾数:8発+1(薬室内)
発売年:1967年
発売当時価格:3,600円(カートリッジ7発付き)
バリエーション:

 デラックスモデル 5,600円、
 彫刻入りモデル 8,600円(発売翌月に10,600円に値上げ)

 

※表面を白・黄・金色などに着色し、銃口を閉塞していれば所持可。
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年9月号に掲載されたものです。

 

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