エアガン

2026/10/08

オールド・モデルガン・アーカイブ:魅惑のレバーアクション 3社が競ったレバーアクションカービン【後編】

 

 レバーを前後させるだけでマシンガンのように連射もできるレバーアクションは、撃ち合いゴッコでも有利だったし、何よりカッコよく、ガンプレイ技もあって、メカニズムも興味深く、1968年に発売されるや時の西部劇人気に乗って一気に大人気となった。

 

 

CMC

ウェスタンカービンM92(1972年)

 

CMC製ウェスタンカービンM92スタンダードモデル

 

CMC製ウェスタンカービンM92クロームモデル

 

リアルメカニズムの本格レバーアクション!

 

 モデルガン界をMGCのレバーアクションが席巻する中、他社はなかなか人気モデルのレバーアクションに手を出せないでいた。
 そんな時、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)が施行された。これにより金属製の拳銃型モデルガンは表面を白または黄色(特例として金色も可)にして、銃口を閉塞しなければならなくなった。モデルガンの人気は一気に落ち込み、趣味としてのモデルガンをやめる人も出た。そこで、各メーカーは規制対象外だった長物(ながもの、ライフルやサブマシンガンなど)を多く作るようになっていく。

 

 この時、中田商店の中田忠夫(なかたただお)社長がモデル1873でMGCと勝負をするのではなく、TVや映画で良く見るモデル1892をモデルガン化することを思いついたという。そして設計を手がける六人部登(むとべのぼる)さんらと共に、当時、赤坂にあったウィンチェスター・アジア社に実銃の取材に行った。3カ月ほどで原型が完成し、モデルガン化はCMCが行うことになった。これによりCMCはハンドガンのSAAと長物のM92で「西部を征服した銃」のペア(厳密には違うが)を揃えたことになる。

 

 完成したモデルガンでは、ジョン・M・ブローニング設計による独自のロック機構が正確に再現されており、メカ好きの人たちにはたまらないものがあった。ただカートリッジは、六人部さん考案のスプリング内蔵式だったものの実弾タイプの.44-40とされ、.45口径のボトルネック型SAA用とは互換性がなかった。さらにほとんど実銃と同じメカニズムは、亜鉛合金ダイカストではスムーズな作動を実現できず、かなり動きの重いものとなってしまった。またコストも高くなり、MGCでM-73とSAAをセットで買うより高い結果に。そんなこんなで大ヒットとはいかなかったが、多くのファンの心を鷲づかみにした野心的なモデルガンだった。

 

上から見ると、ブリーチボルトを左右にある一対のシルバーのロッキングボルトがロックしているのがよくわかる

 

エキストラクターの下に見えるのがセンターを避けたファイアリングピン。その下にある大きなパーツがプランジャー式のスプリング入りエジェクター

 

メカニズムは可能な限り実銃どおりに再現された。ロック機構も再現されているため、閉鎖状態でレバーが垂れ下がってくることはなかった

 

実弾型の.44-40カートリッジ。弾丸部分は銅色のものと銀色のものと2種類あった。スプリング入りで弾丸部分が動く

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイヤリングピン(サイドファイア)
作動方式:手動、レバーアクション
カートリッジ:スプリング内蔵可動式
使用火薬:平玉紙火薬
全長:950mm
重量:3,500g
口径:.44-40
装弾数:10発
発売年:1972年
発売当時価格:

 スタンダードモデル 17,000円(カートリッジ10 発付き)
 エングレイビングモデル 27,000円(1975年発売)
 クロームモデル 23,000円(1975年発売)
 *のちにランダルタイプ、ランダルクロームも発売された。オプション:真ちゅうバットプレート

 

※smGの刻印がないものは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

マルゴー

ウェスタンフロンティアカービンM-73(1973年)

 

マルゴー製ウェスタンフロンティアカービンモデル1873
Photo by Keisuke.K

 

トグルリンクを再現したレバーアクション!

 

 マルゴー初の長物となるM-73も、1971年の第一次モデルガン法規制によって生まれたとされる。多くのモデルガンメーカーが法規制の対象となったハンドガンを作るのを避け、規制対象外の長物を作る方へ流れた時代だ。

 設計を手がけた六人部登さんは、MGC製のM-73の内部構造が相当アレンジされていたことから、これをリアル志向で作れば売れるのではないかと考えた。そしてアンティークとして存在していた実銃のウィンチェスターモデル1873を取材すると、実寸、リアルメカニズムの原型を完成させた。

 

 この企画に手を上げたのが、自社の長物第1号を作ろうとしていたマルゴーだった。MGCが省略したトグルリンク機構、安全機構のセーフティーキャッチ、バットプレートのトラップドアも再現し、フロントサイトをバレルバンドの上ではなく実銃どおりバレル上に持ってくる。主要スプリングもあえて板ばねで再現するなどすれば、後発のM-73でも充分勝負になるはず。外観上の仕様はほぼMGCと同じにし、.44-40口径のカービンで、カービンタイプのリアサイト、ランヤードリングも装備する。問題はどこまでコストを下げられるか。

 

 マルゴーは六人部さんの原型を元に、コストを下げるため左右2つあるリンクを片側だけにするなど工夫を凝らした。しかし量産化はなかなか困難だったようで、CMCのM92より先にスタートしたにも関わらず、発売は1973年までずれ込んだ。しかも価格はCMCのM92よりも高い18,500円になってしまった。さらに1970年代に入るとウエスタンブームは落ち着きを見せ、代わって映画『ダーティハリー』などの影響でポリス(マグナム)人気が高まっていた。結果的に大ヒットとはならなかったが、マルゴーのM-73の発売が実銃発売のちょうど100年後というのは何かの縁だったのかもしれない。

 

トグルリンク機構が再現されたが、おそらく軽く作動させるために真ん中の支点がやや低く、完全にロックされないようになっている。しかもコスト削減のため右側のリンクはない

 

ロワータングと呼ばれるパーツは実銃より長いが、セーフティキャッチも再現され、実際に機能する

 

バットプレートにはトラップドアも再現され、ノブを上に押し上げて開ける

 

.44-40のカートリッジは作動性能を考慮した結果なのか、オートマチックの.45ACP弾のようなずんぐりとした形をしている

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、桜材(ストック)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ボルト
作動方式:手動、レバーアクション
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬2〜3 粒
全長:100cm
重量:3.0kg
口径:.44-40
装弾数:12 発+1(薬室内)
発売年:1973年
発売当時価格:18,500円(カートリッジ12 発付き)

 

※smGの刻印がないものは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。

 

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