エアガン

2026/10/07

オールド・モデルガン・アーカイブ:魅惑のレバーアクション 3社が競ったレバーアクションカービン【前編】

 

 レバーを前後させるだけでマシンガンのように連射もできるレバーアクションは、撃ち合いゴッコでも有利だったし、何よりカッコよく、ガンプレイ技もあって、メカニズムも興味深く、1968年に発売されるや時の西部劇人気に乗って一気に大人気となった。

 

 

MGC

M-66&M-73シリーズ(1968年)
M-66イエローボーイ/ M-73 / M-73オクタゴン/ランダルカスタム

 

MGC製M-73
Photo by Hisayoshi Tamai
撮影協力:トルネード吉田

 

量産レバーアクションモデルガン第1号!

 

 1960年代は西部劇が大人気だった。映画館でも、本家アメリカの西部劇はもちろん、1960年代後半にはイタリア製の西部劇、マカロニウエスタンが人気となり、さらにTV各局の洋画劇場もスタートし、名作西部劇が次々と放送され、その人気に拍車を掛けた。
 そんな中、トップモデルガンメーカーとしてヒット作を連発していたMGCは、その流れに合わせ1967年から1970年(カスタムモデルを入れると1971年も)にかけて、「西部劇モデルガン」を立て続けに発売した。


 第1弾がコルトSAA(シングル・アクション・アーミー)で、第2弾は意外なことにレミントンダブルバレルデリンジャーだった。そして第3弾が、当時はまだ少なかった長物のM-73。SAAの後に発売されるかと思いきや、ワンクッションおいての発売で、第2弾にM-73を期待していた人は肩すかしを食らったような気分だったことだろう。とはいえデリンジャーも人気となり大ヒットとなった。
 設計を手がけた小林太三(こばやしたぞう)さんは、アメリカで取材したウィンチェスターモデル1873をベースに、口径(カートリッジ)をSAAと共通の.44-40とし、改造防止の安全対策と、パーツ点数を減らして製造しやすくすると同時に価格を抑えるため、ロック機構をオミットして、シンプルで耐久性があり、スムースに作動するオリジナルのレバーアクションメカニズムを考案して組み込んだ。しかも、実銃は設計が古いため多くの板ばねが使われているところを、耐久性が高く破損しにくいコイルスプリングに置き換えた。そして、レバーが完全に戻りトグルリンク機構が閉鎖された時だけトリガーを引けるようにする安全機構も、外観からはほとんどわからず、モデルガン的には必要ないと判断されて省略された。


 満を持して発売されたM-73は、アッという間に多くのファンを虜にした。中高生にはちょっと高価だったものの、大人を中心に大ヒットとなった。
 予想以上の売れ行きで、MGCはすぐにカスタムモデルを作ることにした。スタンダードよりちょっと長くて八角形の断面を持つバレルを備えたオクタゴンだ。するとこれまたたちまち売り切れたので、そんなに人気があるのならばと、新たに金型が起こされ、量産モデルとして作られることになったという。同様に、スティーヴ・マックィーンが主演したTV西部劇『拳銃無宿』で主人公が使ったカスタム銃、ランダルカスタムも手作りのカスタムモデルとして作られたが、これまた大人気で、やはり金型を起こして量産されることになった。さらには、モデル1866イエローボーイも欲しいという声が多く寄せられるようになり、メインフレームだけ新たな金型を製作しほかのパーツは共用とすることでM-66も作られることになった。
 まさにこの時代、モデルガン界はMGCのレバーアクションであふれることになったのだった。

 

フロントサイトはコストダウンのためフロントバンドと一体にされたが、意外と違和感がなく、造形もシャープで見事

 

オクタゴンは最初カスタムとして作られ、その名残で量産化されてもフロントサイトはアリ溝ではめ込まれていた

 

MGCのカタログより、M-73シリーズのラインアップ。価格は1970年当時のもの

 

起倒式のVノッチリアサイト。エレベーターは指で固定する。ごく初期型は実銃用のスポーティングリアサイトが取り付けられていたが、不評だったので変更された

 

真ちゅうめっきが施されたM-66イエローボーイのメインフレーム。写真のモデルはM-73のフィンガーレバーが取り付けられている

 

小林太三さん考案のレバーアクションメカ。ロックがないこともあり非常にシンプルで、スムーズに作動し、耐久性も高い

 

メインスプリングもコイルスプリングに変更され、しなやかに作動し耐久性もアップした

 

バットプレートは真ちゅう製のものを標準装備。ストックのカーブにピタリと合わせられていた

 

空薬莢型の.44-40カートリッジ。もちろん自社のSAA用と同じものなので共用できた

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ブリーチボルト
作動方式:手動、レバーアクション
カートリッジ:ソリッドタイプ(同社SAA と共用、別売り)
使用火薬:スタート用雷管、平玉紙火薬3〜7 粒(のちに7mmキャップ)
全長:975mm(オクタゴン)/ 920mm(M-73、M-66)/ 470mm(ランダル)
重量:2.85kg(オクタゴン)/ 2.7kg(M-73、M-66)/ 1.9kg(ランダル)
口径:.44-40
装弾数:13 発(オクタゴン)、12 発(M-73、M-66)、6 発(ランダル)
発売年:1968 年(M-73)、1969 年(オクタゴン、ランダル)、1970 年(M-66)
発売当時価格:

 M-73 スタンダード 10,000円/スペシャル13,000円/デラックス15,000円
 M-73 オクタゴン 13,000円/スペシャル15,000円/デラックス17,000円
 M-66 イエローボーイ 12,000円/スペシャル14,000円/デラックス16,000円
 ランダルカスタム 6,000 円
 カートリッジ別売り1打(ダース、12 発)400円
 *グレードはストックの材質の違いで、スタンダードはチェリーウッド、スペシャルはウォールナット、デラックスはローズウッド

 

※smGの刻印がないものは販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×