エアガン

2026/04/10

オールド・モデルガン・アーカイブ:サブマシンガン対決「第3ラウンド ミリタリートンプソン」

 

今回は、モデルガンの黄金時代、真っ向勝負の競作となったサブマシンガンをピックアップしてご紹介しよう。

 

 前回の記事はこちら 

 

 

第3ラウンド

ミリタリートンプソン対決

 

ハドソン
トンプソンM1A1(1979年)

 

ハドソン製トンプソンM1A1

 

御子柴版ミリタリートンプソン!

 

 1978年からハドソンのモデルガンの設計に関わるようになった御子柴一郎(みこしばいちろう)さんは、ハドソンの依頼によるローマンMK IIIシリーズを手がけた後、次のモデルガンは何がいいか聞かれ、トンプソンM1A1はどうかと提案したという。その頃MGCがプラスチックのM1カービンを発売したり、六研/CMCがモーゼルKar98kを発売したりと、まだまだミリタリー人気も高く、なかでも人気の高かったトンプソンにサイドコッキングのいわゆるミリタリータイプがなかったからだ。しかも御子柴さんが、マルシンやCMCのモデルガンを手がけていた六人部登さんに直接尋ねたところ、他社では作る予定がないという返答があったという。それならばどこともバッティングしないということで受け入れられ、トンプソンM1A1プロジェクトが始動した。
 御子柴さんは、資料を集めると共に、土浦の自衛隊武器学校に赴き実銃を取材、採寸や写真撮影を行なった。さらに、アメリカ軍などから廃銃となったトンプソンを切り刻んで使えなくしたくず鉄が売りに出されていて、参考になりそうな部分を買い集めるなどして、設計に着手した。
 出来上がったトンプソンは、実寸で、実銃どおりのメカニズムを備えていた。大人気のMGCトンプソンでは省略されていた部分もすべて再現した。刻印もうるさいくらいに入れた。
 ただ、模型的には良くできていたものの、ブローバック作動に難があった。発売1年後には流行の閉鎖系ブローバックのピストンファイアー方式を採用したが、それでも快調とまでは行かなかった。最後にはMGCのCP方式を採用したが、その作動に関してはボクはわからない。
 不調の原因の1つがマガジンだったらしい。御子柴さんは20連で設計していたが、ハドソンは30連がよいと判断し、プレス業者に依頼して勝手に延長してしまったらしい。結果、アンバランスなマガジンになってしまった。
 ブローバック全盛期に登場したため、その作動性からあまり注目されなかったが、模型的な完成度は高いモデルガンだった。

 

第二次モデルガン法規制で銃腔を貫通させることができなくなったため、御子柴一郎さん考案によるガスバイパスが銃身下面から取り付けられていた

 

プレスで抜いたシンプルなリアサイト。丸穴のピープと、上辺にスクエアノッチがある

 

ファイアコントロールレバーは、M1の後期型から採用されたという軸にピンを刺しただけのようなシンプルなタイプを再現

 

ほぼ実銃同様のメカニズム。マガジン内の残弾が無くなると、ボルトがオープンストップする機構も備えていた

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト
撃発機構:オープンボルト、セミ/フル切替式
発火機構:前撃針(のちにカートリッジ内発火)
作動方式:デトネーター方式(後にピストンファイアー方式、
さらにCP方式)ブローバック
カートリッジ:オープンタイプ(のちにクローズドタイプ)
使用火薬:平玉紙火薬(のちに7mmキャップ)
全長:32インチ(807mm)
重量:4.8kg
口径:.45
装弾数:20発
発売年:1979年
発売当時価格:

 ブラックモデル31,000円(スリング、カートリッジ10発付き)、
 シルバーモデル 41,000円(スリング、カートリッジ10発付き)、
 簡易型 24,000円(スリング、カートリッジ別売り)、
 組み立てキット 22,000円(カートリッジ2発付き)
オプション:30連マガジン3,500円、スリング 2,500円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

CMC
U.S.トンプソンSMG CAL .45 M1(1980年)

 

CMC製U.S.トンプソンSMG CAL .45 M1

 

六人部版ミリタリートンプソン!

 

 モデルガン全盛期の後期、最後のトンプソンとして作られたのがCMCのM1だ。といってもハドソンのトンプソンM1A1が発売されてからわずか5カ月後のこと。お金に余裕のあった人はともかく、普通のモデルガンファンはハドソンのトンプソンを買うためにお金を貯めていて、そろそろ購入しようかなどと思い始めていた頃。そんなタイミングでCMCのトンプソンM1が発売され、多くのファンが大いに迷うことになった。
 なぜ、そんなことになったのか。漏れ聞いた話では、CMCのM1を手がけた六人部登さんは昔からトンプソンが好きで、限定カスタムとして過去にM1928やM1A1も作っていて、国際産業のM1928Aも手がけていた。だから御子柴一郎さんがハドソンでM1A1を作ることを聞いて、逆にライバル心に火が付いたらしい。自らM1の企画を立て、CMCに持ち込んだと言われている。
 ハドソンのM1A1はトンプソン最後のタイプで、量産に向くよう改良が加えられたが、外観的にはM1とほとんど変わらない。一方CMCのM1はその1つ前のタイプで、ボルトには独立した撃針とハンマーを備えている。六人部さんとしてはそこをぜひとも再現したかったのだろう。CMCもそこをセールスポイントとして専門誌の広告で強く訴求した。
 ハドソンのM1A1は31,000円で、CMCのM1はオイラーも付くとはいえ33,000円。この差をどう捉えるか。もちろん両方買えれば問題ないが、一般庶民はなかなか難しい話。当時のファンは大いに迷ったものだった。
 ブローバックの作動性能に関しては、どっちもどっちという感じだったとされる。作動方式も、閉鎖系のピストンプッシュ方式からスタートして、その後ハドソン同様、何回か変更されている。その中にはダブルキャップ方式もあったという。ただ間違いなく、CMCファンやコアなトンプソンファンには大いに心に刺さったモデルだった。

 

エジェクターは実銃同様、プレート後方を持ち上げてロックを解き、ねじとなっているエジェクタ本体をプレートごと回転させて取り外す

 

コッキングポジションの合成。ボルトにはコック用のノッチが2つあり、1つはセミオート時ストローク不足となった際にボルトをキャッチするためのもの

 

CMCのトンプソンでもガスバイパスが取り付けられていた。チャンバーごと下に抜けるので手入れもしやすい

 

M1は、M1A1では廃止された独立したファイアリングピンとハンマーを備えていて、それがセンターを叩かないようにして再現されていた

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイカスト、輸入材(ストック)
撃発機構:オープンボルト、セミ/フル切替式
発火機構:カートリッジ内発火
作動方式:ピストンプッシュ方式ブローバック
カートリッジ:クローズドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬
全長:813mm
重量:4.5kg
口径:.45
装弾数:20発
発売年:1980年
発売当時価格:

 33,000円(カートリッジ10発、オイルカン(CMCのパーツ名)、スリング付き)
オプション:30連ボックス・マガジン3,500円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年5月号に掲載されたものです。

 

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