実銃

2026/03/17

木と鋼が生む独特の佇まい MP41 無可動実銃ディテール紹介

 

 

この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。

 

 

忘れられたシュマイザー

 

 ドイツのエルマ社が開発したMP40が「シュマイザー」と呼ばれるのは、イギリスの誤解から広がったものだが、MP41は本当にシュマイザーが開発したサブマシンガンである。エルマ社のライバルであったハーネル社で製造されたものだが、MP40のパーツを流用したことで外観が似てしまい、MP40の派生モデルだと思われている。実際はMP40の特許を避けるような工夫が施されていた。

 

MP40との違いはバレルの接続ナットはレシーバー内側なので見えず、バレル下部のバレルレストがオミットされた点だ

 

レシーバー上部にはレシーバー内側から六角形ブロックとピンでバレルを固定する方式でパテントを取得したことを示す刻印が施されている

 

 MP40と同じ弾薬とマガジンで兵站面も考慮されていたが、最前線で消耗させるには高価過ぎ、また製造に時間が掛かることから陸軍には採用されていない。生産されたものの多くが海外へと輸出され、ドイツ国内では少量しか配備されず活躍の機会にも恵まれなかった。熟練の工員が必要な第一世代のサブマシンガンから大量生産を可能にした第二世代のサブマシンガンの中間に位置するMP41は中途半端になってしまい、MP40が偉大過ぎて影に隠れる結果になってしまった。

 

 

MP41短機関銃

  • 全長:861mm
  • 口径:9mm×19
  • 装弾数:32発
  • 価格:¥385,000
  • 商品番号:【3635】

 

 

なぜMP41だったのか

 

 生産性を重視したMP40が完成した時期に、なぜMP41のような古いタイプのサブマシンガンをシュマイザーが作ったのか。それはMP40を歩兵用に適したサブマシンガンに改良することを目的にしたためであろう。機甲部隊を中心とした戦略のためのMP40では従来の歩兵戦略では不便な点が見受けられたからである。特に射撃精度と射撃統制を主としてきた旧態依然の戦略ではMP41のほうが便利であった。そのため同世代に開発された他のサブマシンガンではオミットされたセミオートモードが設けられた。これを実現するためにMP40のアッパーとMP28のロアを組み合わせた。しかし、このハイブリッドは単純にはいかず、またエルマ社の特許を避けるためにも改良が必要であった。特に木製ストックにトリガーユニットを収めるためには薄い鉄板をプレスしたアッパーにトリガーユニットを付ける必要があり、この方式はMP41独自のものである。
 

まさしくMP40用のレシーバーをそのまま流用したのでリアサイトもMP40用の2段階可倒式のものが採用されている

 

トリガー上部にあるボタンがクロスボルト式のセレクターだ。左右にスライドさせることでセミ/フルの切り替えを行なう

 

 ライフルストックは正確な射撃を行なうには適した装備で、MP40の性能を活かすには最適な装備であっただろう。製造などにMP28の各種治具が流用できたのでMP41は生産ラインを作るにしても最小限の設備投資で済んだはずだ。ドイツの同盟国であったルーマニアやクロアチア、ブルガリアなどの小国に輸出されたが、これらの国は軍の近代化が遅れている影響からMP41が受け入れられた。ドイツ国内では親衛隊や警察、空軍などは陸軍とは別の武器調達構造になっていてMP28の後継には最適だったのだろう。
 MP40のリコイルユニットをエルマ社に許可なく使用したことで、特許侵害のために製造中止に追い込まれたが、このユニットはシュマイザーによって考案されたともいわれており、使う権利があると考えていたようだ。MP41はMP40にはない機能を補完した派生モデルとしての道があったが、時代はサブマシンガンではなくアサルトライフルが必要になっており、改めてライセンスを取ったり、改良が加えられることはなかった。

 

マガジンの刻印は上から順にモデル名、パテント、メーカー名が入る。マガジンはMP40と同型だが民間モデルなので商業的な刻印だ

 

外観上はMP28とまったく同型のストックは内部の加工が違うのでMP28との互換性はない。しかし使い勝手はMP28と同じになる

 

 

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TEXT:IRON SIGHT

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年4月号に掲載されたものです。

 

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