2025/11/21
ソ連軍の象徴、PPSh-41 ─ シカゴレジメンタルスの無可動実銃を詳解
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この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。
戦場の勝利の立役者
PPSh41短機関銃は第二次世界大戦におけるソ連軍の象徴ともいえる銃器だ。第一次世界大戦で登場したドイツのMP18短機関銃を参考にしたPPD短機関銃を完成させるが、それは非常に高価で重く、大量生産に不向きなものであった。本格的な第二次世界大戦が始まる直前の1939年に対フィンランド戦においてスオミKP/-31に痛手を受けたソ連は、自国のPPD短機関銃を作り直しPPSh41を完成させる。それは1941年に始まったドイツ軍の侵攻に間に合い、終戦までに500万挺以上という大量生産が行なわれドイツ軍の猛攻を跳ね返す原動力となった。
その規模はソ連海軍歩兵から偵察部隊、空挺部隊等の特殊部隊まで幅広く使用され、陸軍のすべての歩兵中隊にSMG小隊を存在させるほどであった。人員、兵器、弾薬による数の力でPPSh41は幾多の戦場を勝ち抜く原動力になり、いくつかの国では勝利を祝う旗にPPSh41が描かれるほどにまで力の象徴になっている。
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- 全長:850mm
- 口径:7.62mm×35
- 装弾数:35発/ 71発
- 価格:¥110,000
- 商品番号:【8173】
ソ連で初の傑作短機関銃
第二次世界大戦直前のソ連はそれ以前の紛争を経験して兵器の近代化が急務であった。特に勝利を確信していたフィンランドとの冬戦争において、威力が弱く射程の短い短機関銃であっても十分な火力があれば大きな戦力になることを身をもって知ったことが大きい。ここからソ連は短機関銃を重要視するが、既存の短機関銃では性能不足なのと大量生産には不向きなことから、新たな短機関銃を必要とした。そこで誕生したPPSh41は時代背景に合った傑作銃となった。基本設計は既存の短機関銃のままで木製ストックとシンプルブローバック方式を採用。ボルトにのみ白磨き仕上げを施し氷点下でも作動し、またパーツ類は充分なクリアランスを設け、多少の異物が入ったところで作動不良は起こさないようになっている。拳銃用の弾薬(7.62mm×35トカレフ弾)を使用し、71発のドラム弾倉が採用され兵士一人の火力を大幅にアップさせた。
ここまで性能向上を図りながらも本体をプレス加工にしたことでコストダウンにも成功し、ソ連が求めた短機関銃を実現している。この効率重視化の効果は絶大で、PPSh41は制式採用後、終戦までに500万挺以上の大量生産が行われ、ドイツ軍の猛攻を跳ね除ける原動力ともなった。まだ現在のアサルトライフルに使われる中間弾ほどではないが、この当時の拳銃弾としては中間弾に近いボトルネック型7.62mm×35トカレフ弾を採用した設計はアサルトライフルに近いといえる。PPSh41の活躍は戦後のソ連の兵器開発に大きな影響を与えたと言えるだろう。この後のソ連は安価で高い製造技術を求めず、大量生産に向いたあらゆる環境下で作動する銃器が採用されていく。戦後、PPSh41はソ連から東側諸国に供与され、東側諸国の標準的な短機関銃となり主力であり続けた。カラシニコフの登場により影が薄くなったが、ソ連の傑作銃として大いに評価されるべき短機関銃であることは間違いないであろう。
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TEXT:IRON SIGHT
この記事は月刊アームズマガジン2025年12月号に掲載されたものです。
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