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2026/01/27

新 WESTERN魂!:続・ガンベルトの話 オールドスタイル編

 

*お詫びと訂正

 2026年1月27日発売のアームズマガジン3月号の連載記事「新 WESTERN魂!」P.107の右下の写真キャプションにおきまして誤りがありました。

 読者の皆様ならびに関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正記事を掲載させて頂きます。

 

続・ガンベルトの話 オールドスタイル編

 

これは私、トルネード吉田が初めて手に入れたオールドスタイルのガンベルトだ(ガンベルトは「リグ」や「ガンレザー」などとも呼ばれる)。傑作西部劇『トゥームストーン』に登場するジョニー・リンゴ(演:マイケル・ビーン)が劇中で愛用していたガンベルトのレプリカで、ホルスターを左右のダブルにして作ってもらったものだ。このガンベルトも今はなき超高級カスタムプロショップのL. A. Top Gun Art製で、1998年頃にSPEED製のフル彫刻の早撃ち用ダブルリグと、ほぼ同じ時期に購入したものだ。このジョニー・リンゴのリグは今もウエスタンファンに人気が高くレプリカも多いが、L. A. Top Gun Art製はホルスターとベルトのコンチョが劇中のプロップどおりのスターリングシルバー製なのが特徴だ

 

ウエスタンのガンベルトは大きく2種類、早撃ち用とオールドスタイルに分類できる。写真の上(左)が早撃ち用(前回1月号でご紹介のSPEED製フル彫刻ダブルリグ)で、バスカデロスタイルをベースに銃をより速く抜きやすいようにデザインされ、メタルライニング(金属板入り)になっている。下(右)が実際のアメリカ西部開拓時代に使われていたオールドスタイルのリグ(のレプリカ)だ。銃はホルスターに深く収まり、ホルスターはベルトに固定されず、ベルトの上端で吊られるのが特徴だ

 

この写真は数年前のものだが、私は1998年頃から2005年頃まではジョニー・リンゴのダブルリグとSPEED製の早撃ち用フル彫刻ダブルリグを使って、いろいろなイベントで早撃ち&ガンプレイショーをやった

 

 今回は先の本誌1月号の本連載で話題にしたガンベルトについての続編で、オールドスタイルのガンベルトを話題にしたい。早撃ち用のガンベルトは、種類は少ないが昔から既製品があり、全国のトイガン&ミリタリーショップなどで今も購入できる。しかし自分に合った本格的なメタルライニングの物となればオーダーメイドで作ってもらうしかなく、しかもそれを作ることができる革職人は非常に少ない。反対にオールドスタイルのガンベルトの場合、既製品は少ないが、最近オーダーメイドで作ってくれる革職人が増えてきている。種類も多い。
 オーダーメイドというと、何だかとても難しいこと、高度なことに思われる人も多いようだが、実はとても簡単なのだ。見本の写真、あるいは手書きのイラストなどで「こんな感じで作ってちょうだい!」と革職人へ頼むだけ(笑)。大変なのは革職人さんだ。もちろん革職人が販売する作品で気に入ったものを選んで買うのも楽しい。ガンベルトは基本、手作りの品なので革職人の個性が出るのも味わい深い。
 今回はオーダーメイドでオールドスタイルのガンベルトを作ってもらった見本として、私の体験談を書かせていただくが、ハッキリ言って私の場合は“やりすぎ”なのは自分でもよく分かっている。なので、皆さんは無理のない範囲でご参考にしていただければ、と思う。オールドスタイルのガンベルトは早撃ち用以上にいろいろな種類があって集めるのも楽しいし、いろいろな吊り方ができるので使い込むのも楽しい。早撃ち用ほど速いタイムは出せないが、もちろんファストドロウでも遊べる。その面白さが伝われば幸いだ。

 

オールドスタイルのガンベルトにも、いろいろな種類がある。拳銃をホルスターで腰に吊って携帯するのが普及したのは19世紀(1800年代)の中頃からだが、これは当時のミリタリースタイルのガンベルトだ。フラップ(蓋)付きで、乗馬の際に銃が邪魔にならないようにグリップを前にしてバレルを後方へ逃がすデザインのホルスターになっている。銃を抜く時は「キャバルリー(騎兵隊)ドロウ」や「リバース(反転)ドロウ」とも呼ばれる、手首を180度ひねって掌を外側に向けて抜く方法が使われる

 


 

 新製品情報 

 イースト.A コルトM1851用ホルスター 

 

東京マルイからM1851 NAVYの新製品となるシルバーモデルが“東京マルイフェスティバル 2025”で発表されたが、イースト.AからもコルトM1851ネービー用のオールドスタイルホルスターが近日発売の予定だ。このホルスターのデザインは「カリフォルニア・パターン」とか「スリム・ジム」と呼ばれるもので、パーカッション式リボルバーの時代に登場した。軍用ホルスターから派生した民間用で、フラップを省いたものだ。このイースト.Aのホルスターはストロングサイドドロウのスタイル、すなわち利き手側の腰だけでなく、利き手と反対側の腰に銃のグリップを前に向けて吊り、腕を身体の前に交差させて抜くクロスドロウのスタイルで吊ることもできる

 

これは早撃ち用に進化する前の、オリジナルのバスカデロスタイルのガンベルトのレプリカだ。バスカデロ(Buscadero)とは、ベルトの下側にスリットを切って、そこにホルスターを吊るすタイプのものだ(ホルスターをベルトに縫い付けるものもある)。実は西部開拓時代の物ではなく、1920年代に登場したデザインだ。これが1950年代になって西部劇の小道具として、より速く銃が抜けるようにリファインされ、すなわち銃をホルスターに入れたままシリンダーがスムーズに回転するようにホルスターの2枚重ねの革の内側に金属板を挿入したメタルライニングのタイプへ改良され、やがてそれがファストドロウ(早撃ち競技)で使われるようになった

 

ガンプレイをするならリグはオールドスタイルがオススメだ。軽い樹脂製モデルガンのSAAを使う場合、メタルライニングのホルスターだと、後ろ回しでホルスターに収める際にバレルがホルスターの縁に当たった時に弾かれてしまうため、少々やりにくいのだ。
愛用のジョニー・リンゴのリグとフル彫刻ダブルリグ、それと2挺のシルバーのSAA( バレル長4-3/4インチ)のモデルガンでガンプレイや早撃ちをやっていた私だが、2002年頃から伸び悩みを感じるようになってしまった。ファストドロウのタイムは思うように縮まらず、ガンプレイの技の練習も何だかマンネリ。回し技・投げ技のできるものはすべてやり尽くして、練習すべき技が見つからなくなったのだ

 

そんな自分の早撃ち&ガンプレイに行き詰まりを感じるようになった頃にL. A. Top Gun Artへフルオーダーメイドで製作することを決めたのが、この写真のガンベルトのセットだ。世界的大ヒットTVゲームの『METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY』(MGS2)と『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』(MGS3)でオセロット(リボルバー・オセロット)が使うガンベルトの一式だ。本誌2025年11月号でも書いたとおり、私はこのゲームのムービーシーンで、オセロットのガンプレイのモーションキャプチャーの一部をやらせてもらっている。その劇中どおりのガンベルト一式を、まず作品の大ファンである私自身が何より「欲しい!」と思ったのが始まりだが、オセロットの“中の人”が、そのコスプレをしてガンプレイをしたらファンの皆さんに喜んでもらえるだろうし、SAAやウエスタン、ファストドロウを多くの人にアピールできると考えた。だがご覧のとおり、このオセロットのガンベルトは、かなり特殊なスタイルだ。腰のホルスターは横ではなく前方に吊っているし(ハッキリ言って抜きにくい)、何より肩から下げたバンダリア(弾帯)の背中にもう1挺という他に見ない吊り方だ(後にマカロニウエスタンの『拳銃のバラード』で似た吊り方をする悪役ガンマンが登場するのを知った)。だから、これを劇中に忠実に再現しただけの物では、他の使い道が限られてしまう。そこで、それまで誰もやったことがない壮大な(?)計画を思いついたのだ。それは、その時に感じていたガンプレイへのマンネリを打破するための策でもあった。余談だがMGS3のオセロットのガンプレイを、左のホルスターをヒップベルトの後方に吊って真似してやっている人が多いが、それで出来てもMGS3オセロットのガンプレイを完全にマスターしたことにはならない。あのオセロットのスタイルで最も難しいのは背中に高い位置で吊ったホルスターでの銃の抜き挿しだ。これはもう劇中と全く同じガンベルトでやってみた人しか分からない体験だろう

 

実は、これらが“オセロットのガンベルト”として一緒に作ったホルスターのすべてだ。SAA用のホルスターは計10個あり、そのうち9個はゲームに登場するホルスターと同じデザインの仕様違いとなっており、左用やバレル長の違い、ホルスターの角度違いでこのような数となっている

 

作ったベルトは計5本だ。上から2本が肩に掛けるバンダリア(弾帯)で、上から3本目のカートリッジループのないものがパンツベルト(MGS2のタンカー編の軍服のリボルバー・オセロットで使う)、下の3本がヒップベルトだ。本来はバンダリアとパンツベルトとヒップベルトを各1本ずつの計3本でよいのだが、バンダリアとヒップベルトはオーダー1回で理想のものとならず、それぞれ3回作り直したため、結果的にこうなった。写真をよく見ていただくと、ベルト自体の長さやカートループの長さ(取り付け位置)に違いがあるのが分かるだろう。バンダリアとヒップベルトは、それぞれ1番上が完成版だ

 

 MGSリボルバー・オセロットガンベルト 
 L.I.S.Version(L.I.S.=Loop Interface System)

 

 ガンプレイへのマンネリを打破するために私が考え出したのは、統一した色やデザインで、SAAのバレル長や吊り方でいろいろなタイプのホルスターを揃えて、それを好きなように組み合わせて様々なスタイルで吊れるガンベルト一式を作り出すことだった。極端な話、ベルトとホルスターの組み合わせは、もう無限となる。オールドスタイル(メキシカン・ループ)のガンベルトならベルトとホルスターの着脱は容易だから、オセロットのガンベルトを思いっきり拡張することにしたのだ。当時、このようなコンセプトでガンベルト一式を作った人はいないはずだ。このガンベルトを構想した頃、銃の光学機器などのアクセサリーを統一した規格のレール(ピカティニーレール)のインターフェースで取り付けるRIS(Rail Interface System / Rail Integration System)が普及してきたことから、私は自分の構想を勝手にLIS(Mexican Loop Interface System)と命名、計画を進め、約2年がかりで完成させた(2005年完成)。ちなみにお値段は、革を最高級のサドルレザーにしたことや新規のデザイン料(型紙代)、ベルトの3回の作り直し、特注の真鍮削り出しバックル2個もあって、最終的に総額で40万円ほどとなった。かなりの高額だがコスパは決して悪くはない。20年経った今も現役バリバリに使用中で、使いやすく、組み合わせは無限だからまったく飽きずに使っている、というかまだまだ使い切れていない。間違いなく一生、飽きずに楽しめるガンベルト一式なのだ。
 余談だが、ベルトを3回も作り直すことになった経緯もご紹介しよう。最初に出来上がってきたバンダリアはカートループが短く、着用した時にカートループが身体の正面にまで回り込んでこなかったため劇中のイメージとならずNGとした。一緒に出来上がってきたヒップベルトもカートループの長さは短めで、ベルト自体のサイズも私の腰には少し大き目だった。バンダリアのカートループが短めになったのには理由があって、ループは細長い革を波状にしてベルトに縫い付けるため「全長約130cmにもなるバンダリアではループを端から端まで伸ばすのに必要な革が素材から取れない」という店長の話だった。そこでバンダリアのカートループは二分割で取り付けることにしたのだが、オーダーの際に私が分割する位置を間違えて指示してしまい(背中のホルスターの位置で分割する予定だった)2本目もNG。ヒップベルトはサイズを小さくする予定が、なぜか職人さんが間違えて長く作ってしまいNG。この時点でMGSシリーズのアートディレクターの新川洋司さんにベルトとホルスターを見てもらいアドバイスをいただき、最終的なデザインを決定(バックル2個も特注)。そして3回目の発注にしてようやく完璧なものが出来上がったのだ。問題のバンダリアのカートループは「吉田さんがそこまでこだわるなら」と特別に1枚の長い革で作ってくれたのだった。やっと完成した時の喜びは今でも忘れない。革製のガンベルトは(手入れを怠らなければ)長く使えるものなので「あの時に妥協せず作ってよかった!」と今でも心底から思っている。

 

 

オセロットのガンベルトの基本がこれ。ホルスターのデザイン自体は「メキシカン・ループ」と呼ばれるオーソドックスなもので(詳述するとメキシカン・ループで「シャイアン」と呼ばれるタイプ)、リボルバーがパーカッション式から金属薬莢式へ進化する頃に登場したものだ。まずベルトにカートループが付き、その上に付けられるホルスターが必要となったために(スリム・ジムでは不可)このようなデザインのホルスターが普及したのだ

 

一般的にヒップホルスターのベルトへの取り付けの角度の違いには3種類ある。写真左からバックレイク、ナチュラルレイク(またはストレートレイク)、フォワードレイクだ。オセロットの吊り方では、右腰のホルスターがナチュラルレイクで、背中のホルスターがバックレイクだ。最初、背中のホルスターをナチュラルレイクで作ったら、銃が水平に近い角度になってしまい、動くと銃が落下してしまったのでバックレイクを追加でオーダーした。なお中央のホルスターは写真では真下を向いているが、実はわずかにフォワードレイクになっている。ホルスターをヒップベルトで腰の真横に吊った時に、体格的にお尻の方が盛り上がるからベルトの後ろが少し上がり、ホルスターが完全に真下を向いているとわずかにバックレイク気味になってしまう。それを見越して少し角度をつけているのだ

 

オセロットのホルスターはSAAのバレル長5-1/2インチ用だ。それを長くしていった。写真左から3個が5-1/2インチ用、7-1/2インチ用、12インチ用で、それぞれ左用も作っている。写真の右端はオセロットのものとは異なるデザインの12インチ用で、『トゥームストーン』のワイアット・アープ(カート・ラッセル)の愛銃バントラインスペシャルのホルスターのデザインなのだ

 

ホルスターはSAA用だけでなく、レミントン ダブルバレルデリンジャー用の左右も作ってもらった。こちらはパンツベルトに取り付ける。後になって(L. A. Top Gun Artが閉店したため)革細工のできるファストドロウの先輩や仲間にS&W モデルNo.2アーミー用のホルスターや、ゴム製のダミーナイフ用のシース、ショットガン用のシェルループホルダーも追加で作ってもらった。ちなみにダミーナイフは和製西部劇『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』のコスプレ用だ

 

フォワードレイクのホルスターはクロスドロウ用を想定して作ったが、右腰に取り付けるとこんな感じとなり、早撃ち( 抜き撃ち)に有利だ。ただしWFDA-JAPANの公式試合ではルールの「構えた姿勢で垂直面から35°以内」を超えてしまうので使えないが

 

バックレイクを右腰に吊るとこんな感じ。そう!憧れのジョン・ウェインの吊り方だ(昔のFBIスタイルの吊り方でもある)。この吊り方だと速くは抜けないが、乗馬やライフルを腰だめで撃つ時に腰の銃が邪魔にならず、身を屈めた時にも抜きやすいというメリットがある

 

革職人さんがサイズを間違えて長く作ってしまった発注2本目のヒップベルトは、何とチャップス(カウボーイが乗馬で脚を保護するために着用する革の覆い)を着けた時にジャストサイズだった。発注した手前、仕方なく2本目も買い取ったが、世の中、本当に何が吉と出るか凶と出るか分からない

 

12インチのコルト バントラインスペシャル用のホルスターをストロングサイドドロウで右腰に吊ったところ。これじゃとても速く抜けないし、バレルが邪魔で乗馬や普通に動くのにも不便。実際にあれこれ試してみると、いろいろなことが分かる

 

やはり12インチのような長いバレルの銃を吊るなら必然的にバレルを後方へ逃がすこのスタイルとなる。これらを利き手の右手で抜くなら、右腰の銃はリバースドロウ(キャバルリードロウ)、左腰の銃はクロスドロウだ

 

『トゥームストーン』のワイアット・アープは、劇中でこんな感じにヒップベルト2本をクロスさせて銃を吊っていた。右腰に7-1/2インチのSAA、左にクロスドロウでバントラインスペシャルだ。ちなみにこの作品でのバントラインのプロップガンは10インチバレルだ

 

私が一番よくやる3挺吊り。最近、この吊り方をする人が増えたが、日本でこのスタイルを始めたのは私が最初だろう。誰かのマネをした訳ではなく、もともと自宅での練習で「腰の左右の2挺吊り」と「右腰と左のクロスドロウの2挺吊り」の2パターンで練習していたのだが、ホルスターをいちいち付け替えるのが面倒になって、結果的にこう吊ってしまったのだ

 

バンダリア2本を肩から掛けたところ。マカロニウエスタンのメキシコ革命もの(例えば『ガンマン大連合』など)でよく出てくるので、たまにこの組み合わせも楽しむ

 

オセロットのガンベルト拡張版一式のおかげで、できる技、練習すべき技が一気に増えてマンネリ感は完全に打破された。ショーで使うオールドスタイルのリグもこちらへ変更。写真はどちらもファストドロウ全国大会でのパフォーマンスの様子。7-1/2インチSAAの二挺拳銃に、12インチバントラインを使ったガンプレイ。バントラインのガンプレイは西部劇と時代劇に詳しい先輩に指導してもらい、日本刀のように扱う技を身に付け(実は私も時代劇は大好き)これが私独自のスタイル(ショーでのネタ)になった

 

アクション娯楽西部劇『アメリカン・アウトロー』のジェシー・ジェームズ(コリン・ファレル)やクリント・イーストウッドの名作西部劇『アウトロー』に影響されて「作ったホルスターをすべて同時に着用したら」という妄想を実践したのがコレ。計13挺吊り。SAAの12インチバントライン×3挺、7-1/2インチ×2挺、5-1/2インチ×3挺、4-3/4インチ×2挺、デリンジャー×2挺に、No.2アーミーだ。携行弾数は銃だけで計70発、バンダリア2本に計80発以上の弾があるはずなので計150発以上。このフル武装は名付けて「アルティメットフォーム」だ

 

アルティメットフォームは2009年11月の名古屋マカロニ大会で初披露。会場でお借りしたジャンゴマシンガンとウインチェスター1866イエローボーイも加えて無双状態(笑)。最近イベントでフル武装されるガンマンが数名いらっしゃるが、こういう過剰なフル武装も日本じゃ私が初のはず

 

クロスドロウの吊り方で余談。人気西部劇『マグニフィセント・セブン』の公開以降、その主人公のひとりのジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)を真似して写真のように浅い角度で左腰の前方にSAAを吊る人が増えたが、これは乗馬ではやめた方がいい

 

実際にその吊り方で馬に乗ってみると、まず銃のグリップがサドルホーン(ウエスタンスタイルの鞍の上部にある突起)にガンガン当たる。そして上下の振動で銃がホルスターから落下する。これは私自身がCowboy Mounted Shooting(乗馬射撃)の大会で経験済だ

 

クロスドロウの場合、馬に乗るなら銃の角度は浅くせず、もっと腰の外側に向けないとダメだ。乗馬レース西部劇の『オーシャン・オブ・ファイヤー』のヴィゴ・モーテンセンの吊り方がとても参考になる


 

本誌2025年11月号でご紹介した『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』(MGSV)のオセロットのガンベルト。製作者はハートフォードのオフィシャル革職人のトミー井浜さんだ。銃はマルシンのマテバリボルバー(ライブカート式ガスガン)で、ホルスターやヒップベルトのカートループはマテバに合わせて作っていただいた

 

ハートフォードがコルトM1877ライトニングのモデルガンを新発売した際には、ライトニング用のホルスター2個をトミーさんに作ってもらい、それをMGSVのマテバ用のヒップベルトで吊った。このベルトを流用したのは、マテバもライトニングも.38口径のカートを使うので、カートループが適合するからだ。このライトニング用のホルスターは傑作アクションTVムービー西部劇『ワイルド・ウエスタン/荒野の二丁拳銃』でライトニングを二挺拳銃でド派手に撃ちまくる主人公を演じたエミリオ・エステベスが愛用していたリグをイメージしたものだ。トミーさんに製作をお願いしたのは、良いものを作ってくれるのはもちろんだが、同じ製作者の作品だと仕上がりに統一感が出るからだ。革職人の皆さんの作品にはそれぞれの個性があって、作りの細部や染めの色合い、仕上げ、雰囲気などにそれぞれ微妙な違いがあるのだ

 

 

 オイル漬けの儀式 

 

 新品のオールドスタイルのホルスターを購入した時に、ぜひオススメしたいのが“オイル漬け”の儀式だ。新品のホルスターはそのまま使うと銃を抜き挿しするたびにエジェクターチューブの先端などで内側がガリガリと削れてしまう。そこでホルスターをお使いの銃の形に馴染ませるのだ。方法は簡単。まず銃をビニール袋に包み、ホルスターの全面(特に内側)と銃に被せたビニールにたっぷりと革の保湿用のオイルを塗る。そしてホルスターをベルトに通し、ビニールを被せた銃をホルスターに挿して1週間ほどそのまま放置する。こうすることでホルスターが銃の形にフィットするのだ。買ってしばらくは遊べなくなるが、この儀式をやるのとやらないのとでは使い勝手はもちろん、革への負荷も少なくなる。革の保湿用オイルは、私はLEXOL(レクソール/レクソル)のレザーコンディショナーを長年愛用しているが、最近は輸入量が少ないのか値上がりした上に入手しにくくなってしまった。

 

 

 

ガンベルト職人 Pickup

 

 オールドスタイルのガンベルトをオーダーできる革職人さんをご紹介したい。今回は昨年11月に開催された西部劇ごっこで販売ブースを出展されたり、フリマコーナーで販売されたりした方が中心だ(写真の多くはイベント後半で私が撮ったもののため、既に商品が売れてしまった状態でのご紹介でスイマセン)。

 

この写真はMUMEI-TAC(@mumeitac37550)さん。手彫りによる模様の入ったホルスターも作ってもらえるそうだ
URL:https://mumeitac.base.shop/

 

最近、多くのサバゲイベントやミリタリー物販イベントなどに精力的に出展されているMiki3(@miki3_YT)さん。ガンベルトだけでなく、革製のカートポーチやハットホルダーなど、工夫を凝らした小物も人気
URL:https://miki3.base.shop/

 

ウェイランドイシカワ(@weylandishikawa)さん。作品から西部開拓当時の実物をかなり勉強されていることが見て取れる。非常にいいセンスをお持ちの革職人さんだ
URL:https://weylandiskw.thebase.in/

 

ファストドロウシューターであり、西部劇コスプレのガチ勢でもあるフランク斎藤(@FrankGunleather)さん。作品の完成度は高く“好き”が溢れており、革職人としても成長めざましく今後のご活躍にも期待大

 

トミー井浜さんはファストドロウシューターでもあり、ハートフォードの公式ウエスタンクラブ「PEMAY CLUB」(ピーメイクラブ)のメンバーだ。自作のコルト山田さんスタイルのツーハンド競技用リグで全国大会に毎年出場し、昨年は総合4位の好成績。オールドスタイルのリグはもちろん、加工が難しくて作れる人が少ないメタルライニングの早撃ち用のリグもオーダーできる。トミーさんへオーダーをご希望の方はハートフォードへご連絡を

 

SAA用ではないが、その流れを汲むコルトM1911用のウエスタンスタイルのガンベルト。これもトミー井浜さんの作品で、ハートフォード東京店で販売されているものだ。私も「欲しい!」と思ったが、このトラディショナルなテキサスレンジャースタイルのホルスターでは鉄板撃ちのシューティングマッチではルール上、使えない(トリガーが露出してはならない)

 

そこで私がホルスターのデザインを見直し、ルールに適合し、より速く抜けるようにリファインしてトミーさんに作っていただいたのが、この1911用ガンベルトだ。2015年作。2本挿しのマガジンポーチも計4個作っていただいた。時間が取れないため、久しく鉄板撃ちの試合には出場していないが、このセットは今もサバゲで使っている。自分だけのガンベルトをオーダーメイドで作ってもらうのは、とても楽しいことなのだ

 

トルネード吉田企画・監修、イースト.A別注品、アームズマガジンオリジナルプロダクツのネオ・カウボーイ/ネオ・カウボーイ レザーはホルスター単体の商品だ。早撃ち用としてデザインしているが、お手持ちのベルトを使っていただく物であるため、オールドスタイルホルスターのように好きな位置で吊ることが可能だ。右利きの人なら右用を2個、左用1個を揃えていただくと、これだけで写真のようにいろいろなスタイルで吊ることができ、多くの用途で使えるのでオススメしたい。ネオ・カウボーイ レザーには私が得た経験や知識がふんだんに盛り込まれているのだ

 

 

TEXT:トルネード吉田

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年3月号に掲載されたものです。

 

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