ミリタリー

2026/01/31

現代アメリカ海兵隊の戦い方 海兵隊の銃器ラインアップ【M1014ショットガン編】

 

大変革を進めるアメリカ海兵隊に注目

 

キャンプ・ハンセンの敷地内にある、3rd MEF MSB(Marine Expeditionary Force Support Battalion:第3海兵遠征軍支援大隊)の散弾銃射撃場における射撃訓練。米海兵隊で使用されるM1014はイタリアのベネリが開発したガス圧利用式のセミオートショットガンだ

 

 現在、アメリカ海兵隊は世界的な安全保障環境の変化を受け、戦車部隊を全廃したり、砲兵部隊(通常の火砲を装備)を大幅削減する一方で、歩兵部隊に加え対艦ミサイル部隊、防空部隊、兵站部隊などを擁するMLR(海兵沿岸連隊)を新編したり、ロケット砲兵部隊や無人機部隊を増強するなど大変革を進めつつある。それは、我が国の安全保障とも密接に関係していると言っていいだろう。
 そこで、アームズマガジンWEBでは改めてアメリカ海兵隊に注目。少し前の記事にはなるが、フォトジャーナリスト・笹川英夫による沖縄の31st MEU(第31海兵遠征隊)への取材記事(「月刊アームズマガジン」2023年8月号および9月号掲載)を抜粋、再構成してご紹介していく。取材ではアメリカ海兵隊の主要な職種である歩兵を中心に、各種訓練や装備などを収録。ここではベネリM4 スーパー90ショットガンの海兵隊版、M1014をピックアップする。

 

 

第1回 M27 IAR編はこちら

 

第2回 M4A1/M16A4編はこちら

 

第3回 Mk13 MOD7/M240B/M18/M9編はこちら

 

第4回 第31海兵遠征隊 上陸訓練【前編】はこちら

 

第5回 第31海兵遠征隊 上陸訓練【後編】はこちら

 

第6回 市街地戦闘訓練に臨む第4海兵連隊に密着 はこちら

 

 

M1014ショットガン

 

 

SPEC

 

使用弾:12ゲージ
全長:889mm/1,010㎜(ストック伸長時)
銃身長:470mm
重量:3.82kg
作動方式:ガス圧利用式
装弾数:7発(2.75インチシェル)/6発(3.5インチシェル)

 

 M1014はアメリカ海兵隊が1999年から採用しているセミオートショットガンだ。M1014はあくまで米軍の形式名であり、製造元であるベネリの製品名は「M4 スーパー90」である。ちなみにご存知とは思うが、アサルトライフルのM4カービンとは関係ない。
 この銃はアメリカ軍が近接戦闘用の12ゲージショットガンを求めたことにより開発された。一見ポンプアクション式に似たフォルムを持つが、ポンプアクションと反動利用セミオートを組み合わせた同社のM3 スーパー90とは異なり、ガス圧作動によるセミオートのみ。それゆえ、作動に必要なガス圧を得られない低致死性弾薬には非対応となっている。ベネリではストックや銃身長に様々なバリエーションを設けているが、海兵隊が採用しているのはスタンダードな18.5インチバレルと斜め下に角度の付いた伸縮式ストックのモデルだ。

 

マズル周り。バレルの下にチューブマガジンが配されている

 

フォアエンド。一見するとポンプアクションも可能なベネリM3とも似ているが、オートマチックのみなので基本的には固定されている。前方にはスリングスイベルが付く

 

レシーバー左側面にはモデル・メーカー名が刻まれ、IUIDプレートが貼られている

 

レシーバー右側面には「HECKELER & KOCH」(ヘッケラー & コックの刻印が。これはベネリUSAが存在しなかった採用当時、ヘッケラー&コックがベネリの代理店であったため。弾薬の装填はレシーバー下部のローディングゲートから、排莢は右側面のエジェクションポートから行なう

 

ボルトを後退させた状態。初弾をチャンバーに送る際はボルトカバーから突き出たチャージングハンドルを使用する

 

レシーバー上部には20mmレールを備えており、各種光学サイトに対応。リアサイトはゴーストリングタイプ

 

伸縮式のストック。車輌に積んだり、小銃と一緒に携行する際に邪魔になりにくい

 

 

近接戦闘に威力を発揮

 

射撃訓練のためテーブルの上にズラリと並べられたM1014

 

 アメリカ軍におけるショットガンの歴史は古く、第一次/第二次世界大戦の塹壕戦や、ベトナム戦争のジャングル戦などの近接戦闘でも活躍したことが知られている。また、施錠されたドアの鍵や蝶番を破壊することで突入を可能とするブリーチングツールとしても活用されており、そうした場面においてM1014の速射性の高さは非常に大きなアドバンテージとなりうる。実際、2019年にはイギリス軍の対テロ特殊部隊SASの隊員がM1014の同型モデルであるM4 スーパー90を使用し、テロリスト5名を数秒のうちに制圧したという例もある。こうした事実が示しているように、M1014は特に近接戦闘において威力を発揮するショットガンと言えるだろう。

 

この訓練での使用弾はウィンチェスターのスーパーXで、12ゲージの00バック(9粒)。本来は鹿(Buck)猟用だが、対人用としても威力を発揮する散弾だ

 

白線で示された射撃位置にて、M1014の射撃に備える海兵隊員たち。この射撃訓練には31st MEUをはじめ3rd MEF(第3海兵遠征軍)に所属する様々な部隊・職種の兵士が参加していた

 

市街地や船内などにおける近接戦闘で威力を発揮するM1014は、警備任務や憲兵の装備としても適している。散弾銃射撃の技量維持のため、関連する各職種において定期的に射撃訓練が行なわれる

 

 

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 「用兵思想」とは、戦争のやり方や軍隊の使い方に関するさまざまな概念の総称である。これについて知っておくことで「その軍隊がどのような任務を想定し、いかに組織を作り戦うか」といったことを理解できるようになる。

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日本周辺の有事におけるアメリカ軍の戦い方が見えてくる

 

 本書では「イラストでまなぶ! 用兵思想入門」シリーズ(ホビージャパン刊)を手掛ける田村尚也が解説を、しづみつるぎがイラストを担当。現代のアメリカ海兵隊が大変革を進める理由や、その用兵思想がわかりやすくまとめられている。

 日本の安全保障とも密接に関わっているアメリカ海兵隊が抑止力としていかに機能し、有事にはどのように戦うのか。ご興味をお持ちになった方に、お薦めしたい1冊だ。

 

 

 

Text & Photos:笹川英夫/アームズマガジンウェブ編集部

取材協力:U.S.MARINE CORPS 31st MEU

 

 

 

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年9月号に掲載されたものから抜粋、再構成されたものです。

 

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