ミリタリー

2025/12/02

ネイビーシールズ特殊船 撮った 『NAVY SEAL Craft In San Diego』

 

NAVY SEAL Craft In San Diego

 

SEAL隊員の輸送用として、30隻を配備するCCM Mk.1。こちらは満載排水量約30tであるが、こちらを大型化したCCHシーライオンⅡ/Ⅲという満載排水量36tの特殊船も存在している

 

 米海軍が誇る特殊任務部隊SEAL―。第2次世界大戦中に前身となる部隊が創設され、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争と活躍してきた。
 SEALの任務に欠かせないのが、進出・侵入に使われる特殊船舶だ。この度米西海岸の都市サンディエゴにて撮影に成功した。サンディエゴには、米海軍で2番の規模を誇るサンディゴ海軍基地がある。その対岸にはコロナド海軍水陸両用基地があり、ここが海軍特殊戦グループ1の拠点となっている。基地の周りは野生のペリカンの保護区になっており、民間人の立ち入りは可能ではあるが、当然基地の中には入れない。

 

サンディエゴ基地の対岸にあるノースアイランド海軍航空基地より出港するCCM。この基地はコロナド基地と隣接しており、サンディエゴ湾で訓練する際は、こちらを使用する

 

 SEAL用の特殊船舶を運用するのは、Special Warfare Combat Crewmen(SWCC)だ。彼らは船舶の操縦に加え、SEAL隊員に準ずる教育を受ける必要がある。
 メインとなるのが、Combatant Craft Medium(CCM)Mk.1だ。満載排水量約30t、全長約19m、全幅約4m。最大速力は52ktを誇る。最大19名のSEAL隊員が搭乗できる。ステルス性を重視した船体が特徴的で、さらに低視認性を追求したカラーリングとなっている。現在30隻を配備している。
 この他、強襲用として用いられるCombatant Craft Assault(CCA)やCombatant Craft Heavy(CCH)、河川用のSpecial Operation Craft Riverine(SOC-R)と言ったバージョンも存在している。
 公開されることはほとんどなく、知られざる存在ではあるが、SEALが遂行する任務の影には、こうした特殊船舶の存在が必ずあることは知っておいて欲しい。

 

2艇のCCMが並走しながらサンディエゴ湾を行く。この辺りは観光船も出ているので、一般人が目にする機会も多い

 

訓練終了後、トラックで運ばれるCCM。さすがに全長20m近いので、陸に上がるとその大きさに驚かされる

 

CCMの後部には潜入用ボートを搭載することが出来る。そのために後部側にはスベリがあり、出し入れがしやすい形状となっている

 

強襲用として用いられるCCA(Combatant Craft Assault)。こちらは人員輸送に特化した作りとなっている

 


 

2025年10月 NAVYSEAL MUSEUM オープン!

 

博物館の建物外観。サンディエゴの主要交通路線駅に直結しており、アクセスは非常に良い。車社会のアメリカだが、公共交通機関での訪問をおススメする

 

 まさにSEALsの街であるサンディエゴに2 0 2 5年10月4日、『NAVYSEAL MUSEUM』が 完成した。サンタフェ鉄道駅の目の前にあるトロリー乗車場と一体となった地上2階建ての建物の中にある。まだ、オープンしたばかりなので、とにかく綺麗。
 第2次世界大戦中に創設された前身である水中破壊工作部隊UDTから、SEALの歴史について詳しく触れられており、写真資料は豊富だ。何よりも館内で案内のボランティアに当たるご老人たちはみなSEALのOBであり、興味深い話が聞ける。私についてくれた方は、日系3世でありベトナム戦争に従軍した経験のある方だった。
 入口付近には、殉職された方の写真と経歴が掲げられており、そこを読んでいくと、知られざる活躍を知ることが出来る。その中には、イラク戦争に従軍し、25歳の若さで命を落としたマイケル・アンソニー・モンスーアの名も。彼は、今年横須賀に来日したズムウォルト級2番艦の艦名の由来となった人物だ。
 2階は、小銃や防弾チョッキなどの装備品の実物が展示されており、時代に沿ってその変遷を追うこともできる。
 入場料は大人20ドル。事前にネット購入すれば、ディスカウントあり。詳しくはホームページ(https://navysealmuseumsd.org/)を参照のこと。

 

2階は装備品展示エリア。写真のSR-25をはじめ、現用装備が多数陳列されている

 

入り口に入ってすぐ、1階部分は、殉職者の慰霊エリアとなっている

 


 

Text & Photos:菊池雅之

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年1月号に掲載されたものです。

 

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