2026/11/04
【実銃レポート】BDT Live Fire Days 2026 ベレッタNARP 5.56mm & 6.5グレンデル実射【Gun Pro A.T.】
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ベレッタが2023年9月12日に、ロンドンのDSEI2023でNARP(New Assault Rifle Platform:ナープ)を発表したとき、正直なところ、「ベレッタ、お前もか」と思った。M4クローンがあふれる市場に、あのベレッタまでもが加わったように見えたからだ。時代の流れには逆らえない。とはいえ取材を重ねるうちに、そこにはいくつかの理由があることが見えてきた。さらにNARPはM4クローンでは無いことも判った。
ポリマーライフルは終焉を迎えたのか?
イタリア軍がサービスライフルとして採用しているARX160は、2008年に登場した。モジュラーシステムを全面に打ち出し、当時の流れに沿ってポリマーフレーム、ポリマーレシーバーなど、外装のほとんどが樹脂で構成されているライフルだった。軽量で腐食に強く、量産し易いことがポリマー樹脂を多用したライフルの特徴として挙げられる。1980年代から2000年代にかけて、ポリマーは第3世代のアサルトライフルの主要素材とされていた。その具体的な例がG36であり、FN F2000、ベレッタARX160などだ。実用化には至らなかったが、ケースレスライフルのG11もこれに含まれる。
G36は1996年にドイツ連邦軍のサービスライフルとして採用され、その後に複数の国でも採用されたが、2010年以降、高温地域での射撃精度低下が報告されるようになった。調査を繰り返すうちに、この問題はバレルをレシーバーに保持するスチール製のバレルトラニオンが、ポリマー樹脂製のアッパーレシーバーに直接オーバーモールドされている構造にあることが判った。連続射撃や高温環境下での使用継続により、このバレルトラニオンを保持するアッパーレシーバーがわずかに軟化してしまったのだ。
他にもポリマー製のアッパーレシーバー、およびハンドガード上のレールに重量のある様々な光学照準機器を載せることで、高温環境下ではベースとなるポリマーパーツが軟化し、サイトのズレが生じることも問題として指摘された。
前者はG36固有のトラブルであり、ポリマーレシーバーの銃すべてで起こるわけではない。しかし、後者はポリマーアッパーレシーバー、ポリマーハンドガードを採用する多くの銃で起こり得る問題だ。
ドイツでは2015年にG36の段階的退役が決まり、2021年に後継としてG95A1が採用された。これはガスピストン仕様にしたM4発展型で、アッパー、ロア共にアルミ合金を使用している。
ベレッタがARX160を設計した際、バレルを保持するトラニオン部分にはセラミック製のヒートシンク、ヒートシールドを組み込んだ。これによりバレルクイックリリースシステムを採用しつつ、G36のようなバレル装着基部の軟化という前者の問題は起こらなくなっている。
しかし、ARX160およびその7.62mm仕様のARX200は、アッパーレシーバーのみならず、ハンドガード部もポリマーで、アッパーレシーバーとモノリシックデザイン(一体成型)であった。もっともその表面に装着されているレールは、硬質アルマイト処理したアルミ製だ。ハンドガード部は高温になるバレルとは完全に分離されている上に、内部にはセラミック製の遮熱シールドが組み込まれている。従ってG36で起こった後者のトラブルへの対策もなされていた。
実際のところ、ARX160には大きなトラブルは起こっていない。それでもレシーバー、特にアッパーレシーバーのメタルへの回帰は世界的な流れとなっている。そもそもポリマーは、熱伝導体ではなく断熱材だ。長時間の射撃、特に過剰な熱やガスを滞留させるサプレッサーを装着した状態では、ポリマー製ハンドガードはレシーバー内部やガスブロック周辺に熱をこもらせてしまう。
一方、アルミは熱を素早く伝導・放散させるため、バレル、ガスシステム、ハンドガードから熱を逃がし、連続射撃でも内部部品を保護し、レシーバーの劣化を防ぐことができる。従って軍用ライフルがアルミ合金でレシーバーを製造するのは、理に叶っているのだ。
ARX160はポリマーレシーバーを採用したことで、必要な構造強度を確保するべく、鍛造や削り出しアルミレシーバーに比べて、大幅に肉厚にする必要があった。その結果、ARX160はレシーバーやハンドガード周辺が少しfat(ファット)にできていた。ようするに“全体的に太め”なのだ。
これをフルメタルレシーバー、フルメタルハンドガードとしたことにより、NARPは大幅にスリム化できている。この方が断然使いやすい。
そして今や、世界中のアサルトライフルがAR-15, M16, M4デザインに近づいている。これがワールドスタンダードになりつつあるのだ。この操作系に慣れた兵士が増えている中、それとは異なる独自の操作系を持つライフルは嫌がられる時代になってきた。メーカーごとの独自性や個性はマイナスのファクターになってしまったのだ。ベレッタはNARPをM4に寄せてデザインしたことで、国際的な軍用調達入札(軍のスタンダードライフル採用のみならず、特殊作戦用火器契約なども含む)の土俵に乗ることができるのだ。
NARP外観はAR15そのものだが、AR15のコピーではない。ガスピストンなどの作動系はARX160をベースにしながら、それ以外はほぼ新設計のライフルだ。構造の詳細はユーロサトリのレポートで既に紹介したいるので、そちらを参照していただきたい。
NARPはフランスのGIGNをはじめ、未発表の案件も含めて各国の特殊部隊が採用を決めているという。当然イタリア軍も採用し導入が始った。順調な滑り出しを見せているのがNARPなのだ。
ちなみに銃のパーツをポリマー樹脂化すること自体は、間違った判断ではない。ピストルのフレームにも、メタル化という流れができているが、これはほぼすべてがポリマーフレーム化していったことに対する揺り戻しであり、依然としてポリマーフレームは主流であり続けるだろう。またベレッタは昨年、ポリマーレシーバーのセミオートショットガンAX800を発表し、注目を集めている。要は適材適所なのだ。軍用ライフルの場合、アッパーレシーバーとハンドガードはアルミ合金が望ましいということが現在の流れなのだ。
Image Courtesy of Beretta Defense Technologies
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続きは「月刊アームズマガジン2026年12月号」でどうぞ。
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Text & Photos by Tomonari Sakurai
この記事は月刊アームズマガジン2026年12月号に掲載されたものです。
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