実銃

2026/06/14

大戦時イタリア軍の至宝、ベレッタMod.38の記憶「ベレッタMod.38 /A44短機関銃」

 

 

この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。

 

 

最弱イタリア軍の中で輝いた短機関銃

 

 ベレッタMod.38短機関銃は第二次世界大戦中にイタリアが製造・配備した銃器の中でも最優秀な1挺である。設計はイタリア古参のメーカーであるベレッタによるもので、9mm×19弾を使用する当時の最先端の短機関銃であった。第二次世界大戦中のイタリア軍は旧式に近い装備で信頼性に欠けるものもあったため、ベレッタMod.38の完成度は際立っている。

 

フロント(前側)トリガーはセミオート、リア(後側)トリガーはフルオート用だ。指先の感触でも確認できるようにリアトリガーにはセレーションが刻まれている

 

マガジンは写真の40連以外にも20連、30連が用意され、どのバリエーションモデルでも共通で使用できた

 

4本のスリットが入ったコンペンセイターはマズルの跳上がりを抑えるのに十分な効果を発揮したため、最終型まで採用され続けた

 

 この成功は軍からの要求仕様ではなく、ベレッタが生き残りを賭けた努力の賜物であろう。そのため初期型においては短機関銃には過剰なほどの装備があったが、大量消費が当然となった第二次世界大戦が始まるとすぐに簡略化させた改良型になっていく。初期型の優雅な雰囲気は失われていったが、性能を落とすことはなく、1943年のイタリア降伏後はドイツ側に接収された工場で生産が続けられ、生産を終了させたドイツのMP40の代替としてドイツ軍に採用されるほどであった。

 

 

ベレッタMod.38 /A44短機関銃

  • 全長:943mm
  • 口径:9mm×19
  • 装弾数:10/20/30/40発
  • 価格:¥440,000
  • 商品番号:【10196】

 

 

独自路線のベレッタらしい短機関銃

 

 イタリアは第一次世界大戦で世界初の実用的なサブマシンガンを開発した国だ。2 挺の銃を並べた異形の短機関銃は、ドイツのMP18より先に登場したが、第一次世界大戦の終戦とともに衰えていった。その後のイタリアの短機関銃が発展したのは第二次世界大戦直前である。1938年になってベレッタMod.38をイタリア軍が制式採用している。当初はイタリア植民省がイタリア・アフリカ警察の警察部門として購入し、イタリア軍は歩兵用兵器としてほとんど価値を見出さなかったが、部品の簡素化を含む仕様に沿った設計の修正を要請した。その結果、Mod.38A型が誕生し、1941年からイタリア陸軍部隊の落下傘兵、憲兵、その他のエリート部隊に限定されて使用された。

 

このモデルにはMod.38の極初期型に採用された着剣装置付きの丸形排熱孔のバレルジャケットが装備されている

 

右側面がコッキングハンドルの機能で占められているため、エジェクションポートは通常の銃器とは反対側の左側に配置された

 

レシーバー左側にあるレバーは一見するとセレクターのように見えるが、実際にはマニュアルセーフティだ


 Mod.38Aはシンプルブローバック方式を採用し、セミ、フルの切り替えが可能。セレクターはない代わりにトリガーが2つあり、トリガーで撃ち分ける方式を採用。バレルには放熱のためのバレルジャケットが被せられていたが、Mod.38/42型からはバレルジャケットは廃止され、MP41のような外観に代わっていった。戦争が激化するにつれて、精密に加工された部分は簡略化またはオミットされた。ストックとバレルの長さは短縮されレシーバーも機械加工からプレス加工品に変更されたが、これは軍用短機関銃としては当然の変更であったともいえる。1943年9月8日にイタリアが降伏した後、他の敗戦国が銃器の生産を終了する中、Mod.38シリーズは製造を続けられることができた。Mod.38以降のイタリア軍の短機関銃はベレッタが開発したものが採用され続けたことからも、ベレッタにとってMod.38シリーズで得た経験は貴重なものであったに違いない。

 

 

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TEXT:IRON SIGHT

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年7月号に掲載されたものです。

 

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